理系女性、理工系女性(科学者、技術者、研究者等)の重要性と待遇

日本は、科学技術によって国を支えていかなければならない国です。しかし、最近、理工系離れ、理科系離れ、理系離れの動きが激しくなり、理工学部の凋落傾向が見られます。その原因の一つに、総人口の半数を占める女性にとって、理系、理工系の待遇面での魅力が少ないことがあります。日本の科学技術の発展のためには、優秀な女性が、理系、理工系の道を目指すよう、理系、理工系の待遇(給料、生涯年収等の金銭面だけでなく、育児休業、休暇、女性が働きやすい職場環境等、女性の総合的待遇改善)が大切です。


I.女性は総人口の半数を占めている

1.理系、理工系、理科系の女性は、総人口に対する割合に比してかなり低い

 理系、理工系は、社会における待遇(給料、給与、生涯年収等の金銭面だけでなく、出世、地位、社会的評価などの総合面)において、文系、文科系よりも不利なことが多いのです。専門学校でも、大学でも、多くの勉強をしなければなりません。専門性を高めようとすると、大学院にも行くことになります。勉強期間が長いのです。しかし、難しいことを多く勉強をして、体力の必要な実験をしても、社会に出れば、文系、文科系ほど報われない傾向が強いのです。理系、理科系、理工系の地位と待遇(給料、給与、生涯年収等の金銭面だけではなく、出世、地位、社会的評価、育児休業、休暇、職場環境等を含む)は、女性にとっても魅力的なものとはいえないでしょう。

 そのため、理系、理工系、理科系は人気が低迷し、理工学部、理工系学部の凋落傾向が見られます。男性の場合でもそうですが、女性の場合は特に、なぜわざわざ待遇の悪い道、苦難の道を選ぶのか、親も一層強く反対する傾向があります。また、女性自身も、理系、理工系の待遇とイメージの悪さをより敏感に察知して、理系、理工系への進学や就職を避ける面があるでしょう。



 女性は総人口の半数を占めていますが、理系、理工系に進学・就職する者の数は、極めて少ないのです。女性科学者、女性技術者は、女性のキャリアパスにとして、魅力的とはされていないようです。これは、他の先進国と比べると残念な結果と言えるでしょう。

 理学部、工学部の志望者減は、日本の科学技術力の劣化につながります。最も優秀な女性が、理系、理工系に進むように、理系、理工系の待遇とイメージを変えていかなければならないでしょう。


2.キャリアとしての女性技術者、女性科学者、女性研究者

 女性にとっても、女医というのは、キャリアパスとして確立しています。しかし、同じ理系でも、「女医」という言葉は一般的ですが、女性技術者、女性科学者、女性研究者、女性博士、女性教授とか、女技術者、女科学者、女研究者等という用語は、あまり一般的な言葉になっていません。このことが、問題の深刻さを物語っています。

 技術者、科学者のイメージアップも重要でしょう。技術者というと、工場の作業着を着ているというイメージがあります。職場環境のイメージが悪いのです。工場の作業着は、日本を支える重要な服装・ファッションですが、ファッションに敏感な女性からのイメージは、あまり良くないのではないでしょうか。



 しかし、医師も、白衣を着ているのです。作業着がかっこ悪くて、白衣がかっこよいのではないでしょう。技術者、科学者の待遇の改善にともなって、作業着のイメージアップが図られるのです。

 待遇が悪いことが、イメージの悪化につながるのです。理系、理工系のイメージアップのためには、理系、理工系の社会的な地位の向上と待遇改善が必要です。

3.理系女性、理工系女性のイメージアップ

 また、理系女性、理工系女性のイメージアップも重要です。ここでも待遇の問題が決定的です。

 理系、理工系の待遇が悪いから、理系女性、理工系女性を、「なぜ優秀なのにあえて不利な理系、理工系に進んだの」とおかしな目で見る人がいるのです。これは残念なことです。理系女性、理工系女性は、優秀で、しっかりした女性であるという事実を、もっと広報していく必要があるでしょう。

 理系女性、理工系女性は、基礎的な数学、理科等の素養が十分にあり、自分の考えがあって、とてもしっかりした人が多いのです。周りの目や、イメージの悪さ等を気にせず、自分のやりたいことを、きちんと選んだ主体性があるからでしょう。



 このような選択に対し、日本社会は、待遇の悪さによって報いようとしているのです。これは、日本の将来にとって、極めてマイナスと言ってよいでしょう。  

 科学者、技術者に適性がある優秀な女性が、様々な理由で、技術者・科学者を避けるような社会では、科学技術立国は到底実現できないでしょう。



II.理工系離れ、理科系離れ、理系離れを食い止めるには、女性が重要である

 理工系離れ、理科離れ、理系離れが深刻な社会問題となっています。女性は総人口の半数を占めており、その中には、理系、理工系に適性のある人が相当数含まれています。適性は個人差が大きく、女性が理数系に向かないなどということはありません。

 待遇の改善と、女性が働きやすい環境整備により、理系離れ、理工系離れは食い止めることができるでしょう。待遇とは、給料、生涯年収等、お金の面、収入面ばかりではなく、有給休暇、産休、育児休暇等がとりやすいとか、きつい残業がないとか、職場環境がきれいということも重要です。社会的な評価が高く、人付き合い、恋愛、結婚等、様々な面でのイメージが良いことも重要でしょう。

 給料面ばかりではなく、理系、理工系の総合的な待遇を良好なものとすることにより、優秀な女性が、理工系、理系の道を志すようにすることが重要です。


III.女性が理系、理工系を目指すことによる理学部、工学部の偏差値の上昇

 入試等の偏差値を見れば、優秀な女性がいかに多いかが分かるでしょう。これらの女性が、理工学部を目指すようになれば、理学部、工学部の偏差値は大いにアップします。理工学部の定員割れ、志望者減に歯止めをかけることができるのです。

 本来、日本は、科学技術立国を目指しているのですから、理学部、工学部、農学部、薬学部、医学部等の偏差値は、他の学部より高くてもおかしくありません。しかし、医学部を除くと、偏差値が日本で一番高いとはいえない状況にあります。

 理学部、工学部の偏差値が、医学部と同程度になったとき、日本の科学技術の水準は大きく上昇し、日本の科学技術力、産業競争力は、強くなっていくでしょう。そのためには、女性が理学部、工学部に進みやすい環境整備が必要です。

IV.理系、理工系の待遇改善が、女性の理系、理工系へのキャリアアップを促す 

 理系、理工系の待遇問題の解決が、女性の理系、理工系へのキャリアアップを促すことになります。

 待遇が悪ければ、有望なキャリアとは見られなくなり、人が集まらなくなります。

 待遇の問題は、社会的な評価やイメージにも影響します。理系の人間、理科系の人間は暗いなどのマイナスイメージがあると、男性ばかりではなく、女性も、理系、理工系に進むのを敬遠する傾向が強くなるでしょう。



 しかし、その暗いが技術者魂のある人が、社会で大いに報われていたらどうでしょうか。むしろ、そのようなスタイルが良いとされる風潮が生まれるでしょう。女性も、手に職をつけ、技を極めることは素晴らしいという風潮になるでしょう。

 理系、理工系の総合的待遇(給料、生涯年収だけでなく、地位、処遇、休暇、育児休業、職務環境、福利厚生、職場環境)の問題は、女性の理系、理工系へのキャリアアップを促進するか否かの大きな要因となるのです。

V.理系、理工系の連帯と女性の地位向上運動

 このようなことを実現するには、男性、女性を問わず、理系、理工系、理科系の広範な連帯が必要になります。女性の地位向上運動は、男性と女性という視点ですが、理系、理工系の女性の地位向上には、男性、女性を超えた理系、理工系、理科系の連帯が必要です。女性の中でも、理系、理工系の女性は少数派だからです。



 理系、理科系、理工系の女性が、理系、理工系におけるキャリアパスを確立することこそが、性別を問わず、理系、理科系、理工系の地位向上運動に役立つのです。



性別を問わず理系、理工系の地位を向上するポータルサイト「理工系.com」に、より詳しい情報がございます。


本ページは、リンクフリーです。Copyright © rikoukei at 理工系の地位向上の会(女性会員活動中) 2007. All Rights Reserved.